つまり現在普通に日本で用いられている13弦の箏は、唐時代の形式だったんです。中国ではその後16弦に、さらに21弦や25弦に変化したんです。事実、ある中国の女性がホームパーティで演奏してくれたのは21弦でした。ところが我が国では、唐代の形式をかたくなに守ってきたんです。いや、唐文化の素晴らしさを正しく伝えてきたんです。
『箏と箏曲の事典』によると、近代になってかの宮城道雄が十七弦箏を考案したのをはじめ、戦後になって三十弦箏、二十弦箏(実際の弦数は21弦)、二十五弦箏などが考案され、現代曲の独奏楽器としても大いに活躍しています。
しかし現在でも、日本箏の基本はあくまで十三弦箏なのです。『広辞苑』に「日本では、細長い桐の胴の上に13弦を張り……」とあるとおりです。もちろんこれらの近現代に考案された我が国の多弦箏は、中国影響からまったく自由であったことでしょう。
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