歌舞伎絵のなかで、絵金芝居絵屏風ともっとも近い関係にあるのは、絵看板だと思います。江戸ではほぼ鳥居派が独占していた歌舞伎絵看板です。もちろん絵看板は上方歌舞伎にもありましたが、江戸と上方では、形式や様式に違いがあったといわれています。
江戸ではあくまで絵看板が中心で、しかも人物を大きく描く点に特徴があり、上方では絵看板のほかに外題看板など、さまざまな種類の看板を掲げたようです。もっとも絵看板の類は一種の消耗品ですから、古いものはほとんど残っていないので詳しいことは分かりません。
しかし、絵金芝居絵屏風と鳥居清光女史の筆になる現代の絵看板と比べてみると、両者とも狂言のストーリーに大きな比重がかかっていて、役者似顔絵的要素が少ないという共通項があるように思います。
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