もっとも、先生のお仕事で最初に強く惹かれたのは、「夢を見ない人――『黒田清輝日記』から」を読んだときのことでした。そのころ東京国立文化財研究所につとめていた僕は、仕事をサボるためよく黒田記念室へしけこんでいました。そんなこともあって、中央公論社から出版されたばかりの「日本の名画」5<黒田清輝>を開くと、この名文が収められていたのです。
タイトルは「夢を見ない人」とソフィストケートされていますが、先生が『黒田清輝日記』を読んで感じた、清輝はむしろ「めしを喰う人」であったという第一印象から書き出されているのです。「めし」だから言うわけじゃ~ありませんが、「うまいなぁ!!」と感に堪えませんでした(笑)
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