僕がもっとも興味深く感じたことの一つは、北宋人が高い水準を保つ日本の工芸品――刀剣や摺扇などに高い関心を向けていたほか、文人ネットワークにおいては、もはや中国で失われた文化の一部が日本に保存されているというイメージを常にもっていたという指摘でした。柳田國男が『蝸牛考』で発表したような文化の特性を、北宋の知識人はすでに感じ取っていたのです。
そうした考えを代表するものとして、石守謙さんは唐宋八大家の一人である欧陽脩の「日本刀歌」を引用しています。この漢詩は2年ほど前、京都国立美術館で開催された特別展「京のかたな 匠のわざと雅のこころ」をアップロードしたとき、僕も紹介したことがありますが、石守謙さんは論旨に必要な1聯を掲げるだけですので、改めてマイ戯訳のバージョンアップ版をエントリーすることにしましょう。
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