2019年5月20日月曜日

三菱一号館美術館「ラファエル前派の軌跡展」4


画面上には微妙な光があふれ、かすかな風が流れているのです。しかしこれは、「カレの砂浜」だけの特質ではありません。ターナーの風景画に通奏低音のごとく流れる美しさなのです。だからこそターナーは、イギリス最大の風景画家と称えられるのでしょう。ところで「風景」を英語で言えば「ランドスケープ」ですが、漢語で言った方が、ターナーにはずっとふさわしいように感じられます。

『諸橋大漢和辞典』によれば、「景」の第一義は「ひかり」とか「ひざし」ですから、「風景」は風と光なのです。何とターナーにふさわしい言葉でしょうか。この意味でこそターナーは風景画家なのだと思います。

このターナーを高く評価したのがラスキンですが、「第1章 ラスキンとターナー」の解説キャプションは、ことのほか興味深く感じられました。

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