パリにさよならを告げる日、朝食後マドレーヌ広場のあたりを散歩していると、小さなアンティーク・ショップの店先にこれが並んでいたのである。何に使うものか知らないが、僕には徳利以外の何ものにも見えなかった。ジャスト一合、夏は冷酒、冬はお燗、パリだけでなく、南仏も一緒によみがえる。
「十二か月花卉文碗」には、1996年、北京で出会った。あの忘れることができない1989年に続いて、再び北京日本学研究センターの講師として出かけた時である。ある日、自転車で西単の慶豊包子まで食べに出かけた。そのあと王府井のあたりを冷やかしていると、ある工芸品店でこれを売っていたのである。
もちろん煎茶碗(茗碗)であるが、一杯やるのにちょうどいい。以前、瑠璃廠[ルーリーチャン]で12客揃いを見たことがあったが、当然かなり高かった。ところが、ここではばら売りをしている。僕は1月と12月を選んで、しっかりと包んでもらった。
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