国家図書館の曾館長をはじめ、大英図書館のモンゴーニさん、カリフォルニア大学バークレー校図書館の周さん、アメリカ国会図書館の邵さんなど、皆さんクラウド時代にふさわしいお話なのに、僕のはもっぱら両文庫の誕生と歴史でしたから、ちょっと場違いな感じがぬぐえませんでした。
しかしいま丸善雄松堂から販売中の「静嘉堂文庫所蔵宋元版 マイクロフィルム+オンライン版」には、とくに台湾の方々から大きな注目が集まったことでした。
このシンポジウムのチェアマンにしてスポンサーをつとめてくださったのは、泛太平洋集団を率いる潘思源さんでした。潘さんは実業家として大成功をおさめた方ですが、僕が心を深く動かされたのは、文化を胸底から愛する教養人――中国の古い言葉でいえば読書人であることでした。だからこそこのシンポジウムを主催してくれたわけですが、それだけではなく、潘さん自身、中国古典籍の大コレクターなのです。
しばしば日本を訪れて、みずから古書店を回りながらコレクションを続けており、本名の「潘思源」という名刺のほかに「古本一郎」、つまり「ふるもといちろう」という名刺をお持ちなのです。日本へ行く時は、プライベートジェットでというのが、やはり並みの古書マニアとちょっとちがうのですが……。
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