そのカタログから「ごあいさつ」を掲げて、根来塗のあらあらと展覧会の趣旨を知ることにしましょう。
「根来」は一般的に、下地を施した木地に黒漆塗りし、朱漆を上塗りした朱漆塗漆器(朱漆器ともいう)を指します。 おおらかで明快な姿かたちに加えて、長年の使用により表面の朱漆が磨滅して下に塗られていた黒漆が現れることで生まれる古色も、大きな魅力となっています。かつて大寺院として世に知られた根来寺(和歌山県岩出市)で朱漆器が作られたという伝承から、この名称が生まれたともいわれますが、その関係については必ずしも明らかではありません。近年、「根来寺坊院跡」の発掘調査や聖教・文書の検証がなされ、中世から近世における赤と黒に彩られた漆の受容の様子が明らかになりつつあります。
本展は、一連の研究成果を踏まえ、根来の歴史を振り返る展覧会です。 根来寺が繁栄を極めた中世の漆工品を中心に、その前後の時代に制作された、年紀や伝来の確かな名品、そして著名人の愛蔵品を紹介いたします。 大阪・関西万博が開催されている本年、JAPANを代表する漆の美を心行くまで堪能いただけましたら幸いです。

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