この『國華』1194号に載る、平田寛先生の國華賞受賞記念講演録「日本仏画の美しさ」にも深く心を動かされます。その感動的な〆の一節を、引用せずにはいられません。
人類の絵画史において、ミケランジェロ絵画の強壮なドラマや宋代水墨山水画のゆるぎない真実を、ひとはすべて偉とすべきです。しかしそれだからといつて、静かな叡智を秘めた美麗な日本仏画のあわれを以て、人類の絵画史の一隅を飾ることを、ためらうべきではありません。人類の絵画史に、
われわれ日本人が寄与しうる智恵ぶかい美しさが、国華というべき美麗な日本仏画には宿っています。 自己主張の強さを 疑わぬ現代人の眼にも、抑制とつつしみをとおして、美麗のなかのあわれが、多くのものを啓示するにちがいありません。
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