とくに応永年間、熱狂的 に愛好されたので、応永詩画軸 などと呼ばれることもあります。 詩画軸のことを勉強するときには、必ず『禅林画賛 中世水墨画を読む』(毎日新聞社)という本を手元に置かなければなりません。そして監修者である島田修二郎先生の論文「室町時代の詩画軸について」を読まなければなりません。
それによれば、詩画軸は単なる山水画などでなく、特定個人の書斎の図と、送別、招帰の意思をこめて、それに類した想いを詠んだ古人の詩句を選びとり、その趣を描いた詩意図なのです。もっとも本書では、山水的作品を送別・訪友図、書斎図、山水図に分けていますが、この分類も遺品全体を考えるときには悪くないでしょう。