2025年8月4日月曜日

根津美術館「唐絵」4

 

 「唐絵」のもっとも重要な一ジャンルに「詩画軸」があります。かつて僕は美術雑誌『月刊 水墨画』に「河野元昭が選ぶ水墨画50選」という連載を続けたことがあります。そのとき現在遺っている詩画軸のなかで、制作年代の確定できる最初の作品「柴門新月図」(藤田美術館蔵)を取り上げ、詩画軸について簡単に述べたんです。それを再録することをお許しください。

南北朝時代から室町時代にかけて、このような形式の水墨掛幅画が大変流行しました。つまり、あまり大きくない画面の下の方に水墨で絵を描き、上の方に題や序文や漢詩を賛として書き加えるもので、当時から詩画軸と呼ばれてきており、現代でもこの名称がそのまま用いられています。


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