「江天遠意図」は摂津から淡路島を望んだ実景図であるという意見がありました。その根拠になったのは、惟肖得巌いしょうとくがんという、最後に南禅寺の住職をつとめた有名な禅僧の七言絶句賛です。しかし惟肖得巌がこの山水図を見て、かつて住職をつとめた摂津のお寺と、そこから望まれる淡路島を思い出したというだけの話で、伝えられるところの周文が実景を描いたわけではないでしょう。その惟肖得巌が詠んだ賛詩も、ズバリ感情移入です‼
かつて五年も住んでいた 摂津・海崎かいきの棲賢寺せいけんじ
遠くながめる淡路島――青螺貝あおにしがいとよく似てた
巧みな筆でこの風景 描いた画家はどこの誰?
見てると独り松の下 坐してる気持ちになってくる
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