落款印章はありませんが、酒井抱一が編集した『光琳百図』後編(
1826年)に載る作品なのです。もっともこの屏風は、昭和
60年(
1985)秋、出光美術館で開催された「琳派作品展」に出陳されたことがありました。この展覧会を監修した山根有三先生は、
18世紀後半の「光琳派」とされました。確かに光琳の直筆とすることはむずかしいかもしれませんが、出来映えは大変すぐれています。
構図は左右隻の対照がよく考えられ、屏風としての意匠性も明快で、写生的な描写と工芸的な仕上げがみごとに融合しています。だからといって、落款印章のない本屏風を光琳筆と断定することはむずかしそうですが、光琳と密接に関係する作品であることは、抱一の鑑定を待つまでもなく確実でしょう。
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