2025年4月21日月曜日

クリス&クルス『芸術家伝説』8

 

このようなライバル物語は、古代ギリシアの画家ゼウクシスとパラシオスの写実競争として『芸術家伝説』に登場します。ゼウクシスが葡萄を描いたところ、雀が飛んできてその葡萄をついばもうとしました。それを聞いたパラシオスは、そのくらいのことなら自分だって簡単にできることを見せつけようとして、ゼウクシスをアトリエに連れていきました。

ゼウクシスはそこに布で覆いをかけた絵が置いてあるのを見て、覆いを取って絵を見せてくれと頼みました。ところがその覆いの布そのものも、絵に描いたトロンプ・ルイユだったのです。ゼウクシスはパラシオスに一本取られたことを認め、「私は雀を欺いたが、君はその私の眼を欺いた」と言ったというのです。

文晁×一鳳のようなライバル物語を考えるときには、必ず『芸術家伝説』をひも解かなければならない――と述べてマイエッセーの〆にしたのでした。クリス&クルツの名著を持ち出して、チョッとアカデミックなお化粧を駄文にほどこしたんです( ´艸`)


0 件のコメント:

コメントを投稿