その後は年賀状の交換だけになっていましたが、2009年古原先生は研究の集大成となる大著『米芾「画史」註解』を上梓されました。北宋を代表する書家にして画家であった米芾の『画史』はきわめて難解、それまで誰も全巻の注釈や訳読などチャレンジしていなかったのです。この大著には翌年第22回「國華賞」が贈られましたが、当然のことでした。國華主幹を預かっていた僕も、心をこめて祝辞を捧げたのでした。
先日、古原先生のお嬢様である朋子さんから鄭重なるお手紙をいただきました。『米芾「画史」註解』が、このたび中国美術学院から『米芾画史校箋』と題し、中国語に翻訳されて出版されたという、うれしいニュースのお知らせでした。朋子さんをはじめご遺族の深い感動に触れ、僕も胸が一杯になりました。天上の古原先生も、どんなにかお喜びになっていらっしゃることでしょう。
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