2024年1月26日金曜日

千葉市美術館「鳥文斎栄之展」9

もう一つ「僕の一点」として、「風流七小町」シリーズをあげたいと思います。紅嫌いの傑作だからです。派手な紅色を使わず、濃淡の墨、紫、緑、黄だけで摺った錦絵を紅嫌いと呼んでいます。たくさんの浮世絵師が試みましたが、栄之こそ紅嫌いのチャンピオンでした。質量ともに群を抜いているからです。

 錦のように華麗であるところから錦絵と呼ばれることになった木版浮世絵に、どうして紅嫌いのような渋い色調の錦絵が生まれたのでしょうか。これについては二つの説がありました。吉田映二てるじ先生の『浮世絵事典』(画文堂 1974年)には、つぎのように書かれています。 

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