この年末年始は揖斐高さんがすばらしい校注を施した『市河寛斎 大窪詩仏』<『江戸詩人選集』5>(岩波書店 1990年)を酒の肴にすることにしました。これにしたがって、詩仏の賛酒詩「来りて酒を飲むに如かず。楽天の体に傚う」を紹介したことがあると思いますが……。
しかし今回は、詩仏の先輩にあたる市河寛斎に登場してもらい、年末年始の感慨をうたった詩などを楽しむことにしましょう。寛斎はいわゆる清新性霊派のパイオニアとなった一人です。僕が大好きな詩仏は、漢詩といってもポピュリズム的(⁉)ですが、寛斎はもうちょっとクラシックな感じがします。古文辞格調派の古典主義を批判したはずなのに、清新性霊派・寛斎をクラシックな感じなんていうのはおかしいのですが、寛斎には古文辞格調派の影響が、まだ残存していたのかもしれません。
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