話を「鍵板画柵」に戻しましょう。それは他の人の文章に絵だけを提供したという、挿絵の純粋な意味に限るなら、棟方の最高傑作だと思います。棟方自身も「やったぁ!!」といった気分になったのではないでしょうか。
だからこそ、『鍵』のヒロイン郁子を彫った「大首の柵」から、一世を風靡する「女人大首絵」が誕生することになったのでしょう。ところで著者谷崎潤一郎が『板極道』に寄せた序文は、棟方の人となりを語って余すところがありません。一部を省略して引用することにしましょう。
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