2022年5月25日水曜日

蕪村唐寅試論17

 


唐寅「酒を進める歌」

  俺は毎日黄金の このサカズキが手放せず

  どうぞ君たち聴いてくれ 酒をすすめるこの歌を

  若い時こそ人生を 楽しむべきだ!! 人間は

  ものさみしくも年老いて この空虚さをいかんせん

  つやつやした顔 色あせて ふたたびもとに戻りゃせぬ

  白髪頭しらがあたまで飲んだとて 心に穴が開いたよう

  昨日も今日の朝さえも 過ぎてしまえば夢の夢

  満開の春 秋の月 どうして待ってくれようか?

  秋美しき洞庭湖 酒がなければただの池

  蘇州美人は十五歳 微笑んでいる高級バー

  翠みどりのかんざし首飾り 着飾ってるのは誰がため

  「お金は持っているんでしょ!?」 客に呼びかけ誘ってる

  豪華な楼閣並んでる 煉瓦の道の両側に

  光と風が屋根の上 いつも輝き流れてる

  扇子かざして歌う声 聞こえてきます なまめいて

  酒樽を背に舞う姿 いよいよもって軽やかに

  情趣纏綿 得も言えず 舞ってる姿 歌う声

  なまめく痴態 酔客の 求めに応えりゃ盛り上がる

  着物を質に入れてなお 惜しまず杯はいを重ねれば

  日は落ち月が昇っても まさに不夜城 夜は明けず

  梁の劉生 任侠に 生きて落ちぶれ鋤すきで田を……

  千日間酔い続けても 非難さるべきことじゃない――君もそうだと思うだろう

  晋の畢卓ひったく放胆に 生きアル中になってなお

  両手に肴とサカズキを 掲げて飲んだが何故わるい?――君もそうだと思うだろう

  君に勧めん 飲むならば 李白みたいに百斗飲め!!

  しかし飲んでもあんな詩が 我らにできるはずもない

  しょせん昔の天才を うらやむなんて愚の骨頂

  よし有名になったとて 酒にしくものありやせぬ

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