「百度百科」によれば、この「四時の読書の楽しみ」は人口に膾炙しているそうですが、それは中国の話で、日本の烏洲がどうやってこれを知ったのでしょうか。『中国学芸大事典』にも出てこないようなマイナー文人の詩を……。
太田さんは『群馬県立近代美術館研究紀要』9号に、「金井烏洲試論――収蔵品紹介と『秋月書屋図』を一例に」という力作論文を発表しています。それによると、翁森の「四時の読書の楽しみ」は『宋詩紀事』と『翁氏宗譜』という中国の書に載っているそうですが、第3句の末字が前者では「薄」、後者では「寂」となっています。「秋月書屋図」の賛をみると、「薄」となっていますから、烏洲は『宋詩紀事』を見たにちがいありません。
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