もちろんその男も完全に出来上がっていましたが、まったく乱れるところがありません。しかし実演が佳境に入るころ、奥からシラフの男が出てくると、大声をあげて一喝、ストップさせてしまったんです。湖南語なのか、まったく分かりませんでしたし、事情もよく飲み込めませんでしたが、おそらく店主だったのでしょう。
というわけで、長沙は馬王堆とともに、拉麺の妙技でも忘れることができない街なんです(笑) しかし拉麺はともかく、登さんの絵を見て懐かしさを感じるのは、僕の長沙体験のためばかりではありません。
そのサウダーデの起因が、見る人をしみじみとした情感に誘う魂魄のようなもの、言霊にならっていえば画面に揺曳する「形霊」や「色霊」にあることは、すでにアップしたとおりです。しかし今回「長沙の兵舎」を拝見して、僕は「影霊」という言葉を新たに捧げたいなぁと思ったのでした。
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