2020年9月20日日曜日

植田彩芳子ほか『近代京都日本画史』4


 このように学術的にもみごとな内容を担保しながら、植田さんたちがジェネラルブックの形式で出版したことに対しても、オマージュを捧げたいと思います。

 「僕の一点」――今回は「僕の一人」ですが、25歳で夭逝した稲垣仲静(18971922)ですね。かつて「美の巨人たち」でその「猫」を見たとき、ネコ好き館長の心に深く刻まれた画家です。本書には、彼のスケッチ帖からとても印象的な言葉が引用されています。

其の物に限てその物より感得したる自己の性格と最もよく合した満足を許す極めて神経質な線を表出せねばならぬ、又無情な線は(自己と溶け合はぬ線)一毛と雖もこれを描く事は許されない。

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