2020年4月16日木曜日

追悼 大林宣彦さん5



CFの撮影のため、砧の緑地公園に来ていた。スタッフと待ち合わせた時間には少し間があり、制服を着たままの私は、車の中にいるのが嫌で車外へ出た。……

その時、私は視界の中に一台の白い車を認めた。私の乗っている車からそう遠く離れていないその車から、ひとりの青年が降り立った。ブルーのトレーニングウェアに身を包んだその人と一瞬目が合った。しかし、お互いに挨拶を交わすでもなかった。緑地公園にトレーニングに来ているスポーツ選手という印象を持った。即座にそう思えるほど、彼は健康的だった。

しばらく間があって、スタッフから紹介され、挨拶を交わした。「よろしく」別に笑顔も作らずに、彼はそのひと言だけを置き去りにした。……

恋のはじまりは、意外性の発見から――と誰かが言うのを聞いたことがある。私の場合もそうだった。彼は、私の目にはあきらかに他の人たちと違って映った。初対面のぶっきらぼうな態度に、私は肩すかしを喰わされ、そして、それが少しも不快でないことに、驚いていた。

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