今年は明治維新百五十年の記念すべき年、慶応から明治に改元され、一世一元の制が定められてからちょうど一世紀半を閲するわけである。新しく誕生した近代国家日本は、古代以来の中華文明に代わって西欧文明を社会の規範に措定し、西洋国際社会への参加を表明したのだった。つまり我が国の近代化とは、西欧化のことであった。しかし、ものの見方や考え方は一朝一夕に変わるはずがない。当時の知識人はこれを否定的にとらえる傾向が強かったが、むしろ近代日本の素晴らしさは、この点にこそあるように思われる。近代美術のおもしろさも、軌を一にするといって過言ではないであろう。
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