僕がもっとも心を動かされたのは、先生が陶淵明のお墓を探し訪ねたことです。かつてどこかで読んだのですが思い出せず、今回『諸橋轍次著作集』全10巻を調べて、第10巻の「学問の思い出」にあることを確認しました。昭和38年7月、東方学会新館会議室で、宇野精一氏ほか3人が先生のお話を聞いたときの記録で、『東方学報』第27輯に載ったとのこと、あるいは僕が読んだのはこれだったのでしょうか。
先生は、「ええ、旅行は随分いたしました。むかしの人は知りませんが、私どもの頃のものとしては、私ほど旅行したものはないでしょう」と語り始め、「陶淵明の墓をさぐる」へと進んでいきます。
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