鎌倉国宝館「知られざる円覚寺の至宝――古文書と羅漢図の世界」<6月16日まで>
去年は欧米の人々に「禅」を初めて「ZEN」として広めた、円覚寺の釈宗演老師の100年遠忌にあたっていました。また今年は、円覚寺中興の祖とあおがれる大用国師(誠拙周樗)の200年遠忌を迎えました。これを記念し、三井記念美術館と鎌倉国宝館で、円覚寺の名宝を選りすぐった特別展が開かれています。
今日紹介するのは、鎌倉国宝館の「知られざる円覚寺の至宝」です。副題にあるように、古文書と羅漢図にスポットを当てていますが、「僕の一点」は、張思恭筆という伝称をもつ「五百羅漢図」です。このシリーズは元時代のすぐれた仏画として、早く重要文化財に指定されています。
南宋仏画様式を受け継ぐ寧波[にんぽう]工房の作品だと思われますが、とくに僕が興味を惹かれたのは、江戸時代中期に狩野養川惟信が一図を補作していることでした。最近、鎌倉市の指定文化財になった本図は、江戸仏画とはいえ、惟信の代表作といってよいでしょう。画面右上に銘がありますので、それを書き下しで紹介しておきましょう。
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