最後に、五言律詩「新花」を挙げておきましょう。これは王安石の絶筆とされているそうで、元祐元年(1086)夏4月6日(旧暦)66歳で亡くなった王安石が、その年の春に作ったものであろうと、清水茂さんは推定しています。
ところで王安石の詩文集として、流布本『臨川先生文集』のほかに『王文公文集』がありますが、少なくとも『中国詩人選集』が編まれた段階では、宮内庁所蔵本しか知られていなかった稀覯本のようです。
それにはこの詩が「新花」と「絶筆」という異なるタイトルで、重複して収められているとのことですが、杜撰というよりも、この詩の重要性と内容によるところだったのではないでしょうか。重層的で、老いの哀しみとも、老人への応援歌とも聞こえますが、我々はぜったい後者でいきたいですね!!
年とりゃ楽しみ減じたり まして病[やまい]の床にありゃ
水を汲み来て活ける花――流れる香りに慰[なぐさ]もる
だがその香りはしばしの間[かん] 俺も長くはないだろう
新しい花 老いた俺 忘れてしまえ 二つとも!!
0 件のコメント:
コメントを投稿