実際に見ると、本絵にまとめられる前のヴィヴィッドな感覚に、深く心を動かされました。この作品が昭和47年の秋、東京国立博物館で開催された特別展「琳派」に出陳されて、広く知られるようになったのも、とてもうれしいことでした。
一応の調べを終えた翌年、東京国立文化財研究所の機関誌である『美術研究』の290号にと291号の2号にわたって、紹介することができました。僕にとって、青春の忘れがたき拙文の一つ、もちろん琳派400年記念祭のときに出した『琳派 響きあう美』に、ソク収めたことでした。
この作品が、今回の企画展に全巻展示されることになりました。展示されるだけではありません。同時に『三井美術文化史論集』11号に、清水実さんの「三井記念美術館蔵『紙本着色 鳥類真写図巻 一巻 渡辺始興筆』」という、意を尽くした研究論文が発表されたのです。
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