いいも悪いも、一人称で語り、評価する美の世界は、今日狭まっていくばかりです。このような、美術にとってある種の末法の世に掉さすため、コレクター、美術商、現代美術作家、学芸員、研究者、編集者などさまざまな立場から、一人称で日本美術にかかわってきた有志が、このたびのプロジェクトを企画しました。
敬愛すべき幾人かの個人をモデルとして生み出された架空のコレクター「夢石庵」に、個人と美術のかかわり方の理想的な姿を仮託し、忘れられたその人を顕彰するというテーマで、コレクション展を催す、というものです。
『國華』120周年記念展「対決 巨匠たちの日本美術」(東京国立博物館平成館 2008年)や、琳派400年記念祭記念特別展「琳派 京を彩る」(京都国立美術館平成知新館 2015年)はもちろん、秋田県立近代美術館でも静嘉堂文庫美術館でも、どうやったら一人でも多くの入館者を集められるか、そればっかり考えてきた僕をして、穴があったら入りたいような気持ちにさせる特別展のようです。
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