ロダン・ホールの「僕の一点」は、カミーユ・クローデルの「遺棄」です。クローデルはかのオーギュスト・ロダンの弟子にして、また恋人として知られていますが、その造形に対して、近年とくに高い評価が与えられるようになっています。2006年に府中市美術館で開かれた特別展は人気を集め、大きな話題となりました。ネットで検索すると、今年3月には、セーヌ川の上流にあるノジャン・シュル・セーヌという小さな町に、カミーユ・クローデル美術館が開館したそうです。
しかし、僕も執筆編集に参加した『新潮世界美術辞典』(1985年)に、「カミーユ・クローデル」の項目を見出すことはできず、お兄さんの「ポール・クローデル」の最後に、ちょっと言及されるだけなのです。
クローデルには、もともと古代インドの恋愛譚「シャクンタラー」に取材したオリジナルがあり、それをブロンズ化した作品が「遺棄」だそうです。もっともこれは、1905年版複製だそうですが、クローデルのロダンに対する愛憎を、それが言い過ぎなら愛情と猜疑を、いとも容易に読み取ることができるでしょう。
動物ホールの「僕の一点」は、何といってもアフリカゾウです。ともかくもデカイ!! 上野動物園で何度も見てきたはずですが、象舎の周りから遠望するといった感じでした。ところがこの動物ホールでは、目の前に屹立する巨体を仰ぎ見るのです。剥製とはいえ、動物園では絶対味わえない圧倒的迫力に、自然に対する畏敬の念がおのずと湧き起ってくるのです。
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