さて、竹田が享和3年(1803)岡藩藩士と思われる蕉叟に贈った「雲山草堂図巻」は、彼の思想と芸術を考える上で、きわめて重要な作品です。これも吉澤先生から教えていただいたことでした。残念ながら、いまその所在を知ることはできないのですが……。その巻末に竹田が書き残した七言律詩二首も実に印象深いので、学術誌である『國華』にもかかわらず、お馴染みの戯訳を註として載っけちゃいました。結構うまくいったんじゃないかなぁなんていうウヌボレもあるので、ちょっとバージョンアップしつつ、ここに再録することにしましょう。
君はもともとアホみたい 僕は似ている狂人に
帽子など脱ぎ向かい合い ムシロの床に座るべし
藤蔓[ふじづる]枯れてみんな折れ 月に向かって猿が鳴き
老いた柏は枝まばら 鶴はおそれる氷霜を
友には必ず上等な 筆と紙とを用意せよ
高価な衣装をみずからが まとおうなんて思わずに
ものぐさだから世の中に 役立つことなど絶えてなし
雲にかくれる山中に すぐに草庵建てるべし(以上第一首)
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