しかしこれは五味さんをはじめ、皆さんの興味をあまり引きませんでした。むしろ資料にあげただけにもかかわらず、柳田國男「日本の祭」から抜いた一節の方がウケたようです。これこそ我らが祭りのキモだと思って引用したのですが、総合司会の大高保二郎さんがとくに取り上げてくれたので、「ヤッター」という気持ちになりました(笑)
日本の祭の最も重要な変り目は何だったか。一言でいうと見物と称する群の発生、即ち祭の参加者の中に、信仰を共にせざる人々、言わばただ審美的の立場から、この行事を観察する者の現われたことであろう。それが都会の生活を花やかにもすれば、我々の幼い日の記念を楽しくもしたと共に、神社を中核とした信仰の統一はやや毀れ、しまいには村に住みながらも祭はただ眺めるものと、考えるような気風をも養ったのである。
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