(イ)すべてをのみこんで豊饒な幸にかえしてもどしてくれる海の信仰
(ロ)豊饒な恵みに感謝し、母の胎内に比定した山にこもって再生をはたす山の信仰
(ハ)善神の力をかりて不幸をもたらす悪霊をはらう儺なの信仰
(ニ)善神に同化してその力を体内にとりこんで再生する種子の信仰
四つの日本の祭りのタイプはけっして日本に固有のものではなく、源流をさかのぼってゆけば、アジアに共通するものである。花祭はこの四つのタイプの特色をすべてそなえており、この祭りの成立の複雑さをおもわせるのであるが、その基本モチーフの「生まれ清まり」は(ロ)(ニ)に由来する信仰である。(ニ)型は稲作文化とともに渡来したもっともあたらしい祭りのタイプであったが、それにしても日本への渡来の時期は稲作文化の渡来とともに弥生にまでさかのぼる。しかも、そののちの仏教、修験道、シャーマン儀礼などの影響もとりこんで花祭は成立しているのである。
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