あのキリストを深く信仰した宗教画家であるルオーが、初期にはこんな現代風景を描いていたのです。ルオーが現代社会にも関心をもっていたことを知って、だからこそすぐれた宗教画家になれたんだと、僕は確信したことでした。
いくら2000年前の聖人キリストを取り上げるとしても、その根底に現代に対する関心がまったくなかったら、現代人を感動させるキリストは描けなかったにちがいありません。
そんなことを考えながら、そしてジェーン・エレン・ハリソンの『古代芸術と祭式』(筑摩叢書 1964)にある有名な一節を思い出しながら、僕はその「夜の風景 または よきサマリア人」に、心からのオマージュを捧げたのでした。
『古代芸術と祭式』の英語初版が出版されたのは1913年といいますから、もう一世紀以上まえに出た本ですが、名著だと思います。僕が名著だと思っているだけじゃありません。次のごとく、腰巻に「名著」だと書いてあるんです(⁉)
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