出光美術館・与謝蕪村筆「夜色楼台図」<11月18日まで>(11月16日)
いま出光美術館では、江戸時代絵画の<雅>と<俗>に焦点をしぼって、「江戸絵画の文雅」<12月16日まで>と題するオススメの企画展が開催されています。これに錦上花を添えているのが、先年国宝に指定され、改めて話題を集めた与謝蕪村の「夜色楼台図」です。その前に立ってじっと観賞すれば、日本絵画の本質が、たちどころに理解されてしまうのです。
雪景という感傷的主題、その叙情的にして象徴的な表現性、造形と文学のあえかな交響など、日本美術のエッセンスが、この一幅にすべて抜かりなく詰め込まれているといって過言じゃありません。
しかし、そのコレクターから許された特別出品はわずかに2週間、つまり18日(日)までの残り2日間です。皆さん、図版ではお馴染みでしょうが、何が何でも本物を見なくては、日本絵画を、いや、日本美術を、いやいや、日本文化を語ることができなくなってしまいますよ!!
いま僕は、「行路の画家蕪村」の続編を『國華』に寄稿すべく書き進めているところです。しかし静嘉堂文庫美術館の仕事が忙しく、その他のおしゃべりトークなどもあり、さらに盲腸炎の後遺症や風邪で調子もイマイチのため、なかなか筆が進みません。
しかし今日会場で「夜色楼台図」をじっとながめていると、どこからか「そんなのみんな口実だろう。後期高齢者とはいえ、老躯に鞭打ってもうちょっと頑張れ!!」という蕪村の叱声が聞こえたような気がしたのでした(!?)
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