2018年8月23日木曜日

『いちばんやさしい美術鑑賞』3


たとえば、わが静嘉堂文庫美術館の目玉ともいうべき「曜変天目」が、第12章に「観られない作品ほど観たい」として取り上げられています。最後にタケさんは、「勝手なイメージを抱いてみる」と題して次のように述べていますが、これは工芸美術最高の鑑賞法であるとともに、<用の美>の本質を鋭く突いているのではないでしょうか。

価値観は常に変化するものであるということを、この小さな茶碗が教えてくれます。そしてこれを至上の国宝としてただ観るだけではもったいないので、脳内に様々なものを盛りつけてみてはどうでしょう。自分は炊き立ての白米が曜変天目にとても似合うような気がしてなりません。願いがひとつだけ叶うなら、静嘉堂文庫美術館の曜変天目でお腹いっぱいご飯を食べてみたいです。もちろん、おかずなんて必要ありません!

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