事実、中村公一さんの名著『中国の花ことば 中国人と花のシンボリズム』(岩崎美術社 1988年)には、菊に猫と蝶々を配した切り絵の「寿居耄耊図」が紹介されています。これから蝶々を取り去れば、「神猫図」と同じ組合せになるではありませんか。
この切り絵に蝶々が登場するのは、「蝶」の音が「ディエ」であり、長寿を意味するもう一つの難しい漢字「耊」の音も同じだからです。しかし蝶々がいなくても、猫+菊だけで、充分長寿のシンボルとして機能するのではないでしょうか。もちろんこれは、宗季が考え出したというより、中国に猫+菊という組み合せがすでにあったにちがいありません。
宗季は親しかった老婦人の長寿を祝って、この「神猫図」を描き贈ったのではないでしょうか。あえて老婦人といったのは、背景の菊が大輪ではなく小菊なので、女性にふさわしいように感じられたからです。
内田洸さんの解説によると、この作品にはバージョンもあるようですが、おめでたく、またおもしろい図柄であるために人気があって、同じような作品を求める人が後を絶たなかったにちがいありません。こんな解釈を「饒舌館長」に麗々しくアップすると、いかにも後期高齢者みたいなコジツケだと笑われちゃうかな(!?)
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