このなかの「僕の一点」は「江戸風俗図屏風」ですね。どんな絵師が描いたのか分かりませんが、パクス・トクガワーナにおける庶民の安寧と悦楽が生き生きと伝わってきます。とくに興味深いのは左隻の歓楽街です。この屏風は10年ほどまえ、出光美術館で開催された「『江戸名所図屏風』と都市の華やぎ」展に出陳されましたが、そのカタログにはつぎのごとく説かれています。
川遊びと同じくらい広いスペースが与えられるのが、左下の芝居小屋を中心とした歓楽街である。繰り芝居と歌舞伎芝居が並んで描かれているが、その場所は必ずしも特定されていない。歌舞伎芝居の橋掛かりに立つ供奴の酢漿草紋かたばみもんが森田座の紋に一致し、それ故に木挽町と考える説と、芳町との地理的な整合性が取れないことから、中村座と土佐少掾橘正勝などの繰り芝居のある堺町・葺屋町とする説とが並列している。後者を取る場合、左上の鳥居は杉森稲荷とし、茶屋が軒を並べる往来は稲荷新道と定められるという。

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