しかしこれだけなら、たいしたことはありません。蘆雪がすごいのは、高尚な能謡曲のストーリーを、日常的な金魚玉に埋め込んでいることです。金魚玉見立てになっている点です。金魚玉というのは、金魚を入れて吊るす丸いガラスの容器、つまり金魚鉢の一種です。これにシノブを添えて軒先や窓際に吊るせば、見た目に涼しく、クーラーなんかない時代の視覚涼感装置でした。
これを描いた代表的作品に、神坂雪佳の「金魚玉図」(細見美術館蔵)があります。蘆雪の「猩々図」でも、中の7人は透けていますし、外にいる二人の猩々を見ると、手や袖が透けて見えるので、この酒壷がガラス製であることが分かるでしょう。
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