三菱一号館美術館「トワイライト、新版画――小林清親から川瀬巴水まで」を内覧会で見せてもらったあとで、いま饒舌したような巴水風景版画サウダーデ観が心に浮かんできたんです。もちろん会場で作品を前にしたときは、ただいいなぁとながめるだけでしたが……。
しかし佐藤道信さんは、はじめに紹介した『國華』新版画特輯号巻頭言のなかで、巴水風景版画の社会的背景について、つぎのごとくとても興味深い指摘を行なっています。
最後に、とくに川瀬巴水の風景版画が感じさせる郷愁には、大正から昭和初期 (一九二〇~三〇年代)に、国際観光事業の推進や史跡名勝保存、国立公園の指定等、 近代ツーリズムで新たに見出された日本や、江戸の風情を残す生活風景、関東大震災後の帝都復興によるモダン東京などがすべて混在し、「レトロモダ ン」の形になっていることである。

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