江戸時代中期に活躍した肉筆浮世絵師・宮川長春の筆になる絶品です。長春は尾張宮川村に生まれ、これを姓にしたと伝えられています。いつのころか長春は江戸に出て、菱川派や懐月堂派、さらに伝統的な土佐派をも学んで、もっぱら肉筆に創造の場を特化しました。やがて豊麗なる肉筆美人画様式をもって一世を風靡、宮川派を形成しました。この画系から勝川春章や、先日すみだ北斎美術館特別展をアップした葛飾北斎が誕生したことも特筆されます。
「形見の駒図」の出典は、近松門左衛門作の浄瑠璃「世継曽我」に求められます。これは天和3年(1683)9月、京都宇治座で上演された浄瑠璃で、近松作と認定できる浄瑠璃としてはもっとも初期のものだそうです。
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