根津美術館「重要文化財指定記念特別展 百草蒔絵薬箪笥と飯塚桃葉」<12月8日まで>
阿波徳島藩主・蜂須賀家伝来「百草蒔絵薬箪笥」は、徳島藩お抱え蒔絵師・飯塚桃葉とうようが明和8年(1771)に制作した絶品です。このたび重要文化財に指定されたので、それをことほぐ特別展ですが、単なる記念展じゃありません。僕が言うところの研究展覧会です。
蒔絵の超絶技巧を駆使した絶品ですが、いささかも超絶技巧と感じさせることなく、きわめてシンプルに見せているところがすごい!! 複雑極まりなきものをシンプルに見せる――これも日本美術の特質であるシンプリシティーの一面なのだと、感を深くしながら堪能したことでした。
従来、この薬箪笥は阿波徳島藩10代藩主・蜂須賀重喜はちすかしげよしがみずから用いるために、召し抱えていた蒔絵師・飯塚桃葉に命じて作らせたものと考えられてきました。しかし本特別展のキューレーションを行なった永田智世さんは、当時の蜂須賀家や博物図譜の動向を詳細に調べたのです。
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