僕は缸瓦窯のことを「乾瓦窯けんがよう・かんがよう」と記憶してきましたが、中国ウィキペディア「維基百科」で「缸瓦窯」を調べると、「日本人訛あやまりて『乾瓦窯』と作なす」と出てきます(!?) 「僕の一点」に選んだ理由は、かつてこの長頸瓶を「桃山美濃陶試論」(『美術史論叢』17号 2001年)という拙論に使ったことがあるからです。その一節を紹介させてもらうことにしましょう。
古瀬戸釉のうち朽葉色の釉を特色とする黄瀬戸のなかでも、特に注目されるのは具象的文様や抽象的意匠を線彫りにし、それに銅緑釉、いわゆる胆礬たんばんをかけた作品群である。これを桃山以前に焼成された黄瀬戸、たとえば「黄瀬戸茶碗」や「黄瀬戸天目茶碗」と比較するならば、装飾的効果が飛躍的に高まっていることがわかるであろう。
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