2024年7月24日水曜日

東京国立博物館「神護寺」4

古くから高雄は山岳信仰の盛んな霊地でしたから、その地に建立された高雄山寺の本尊であったという説も魅力的だと思いますが、神願寺本尊説が定説のようです。しかしいずれにせよ、清麻呂が信仰し帰依していた宇佐八幡と密接に結びついていたことは明らかです。

もちろん仏教と宇佐八幡は、早くから不即不離の関係に結ばれていました。かの東大寺毘盧遮那仏びるしゃなぶつ、いわゆる奈良大仏の場合がよく知られています。

大仏建立を発願した聖武天皇は、はるばる宇佐八幡へ祈願の勅使を派遣して神託を得ると、完成の暁には宇佐八幡神を勧請して東大寺の守護神としたのです。垂迹思想の原点をここに求める研究者も多いようです。しかし神護寺薬師の場合、創建の経緯からみても、宇佐八幡神との関係はさらに濃厚であったのではないでしょうか。

 

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