この「猫と遊ぶ娘」のマニエラもやはり歌麿美人だと思います。「台所四美人」における茄子(?)の皮をむく女房の茄子をネコに変えれば、「猫と遊ぶ娘」出来上がるというわけです。これに限らず、両手を前方に伸ばす美人は、歌麿が愛して止まないフォルムでした。これらが国芳にとって、重要なマニエラになったんです。
前髪を結ぶ緋色の飾り裂きれにより、彼女が芸者や遊女ではなく、おそらくは商家の娘であることが分かります。面長の典型的国芳美人ですから、もう少し年のいった女性に見えますが、キャッチコピーにある「チャキチャキ娘」なんです。
このころの日本娘は本当に可愛らしかったらしい。もちろん今も変わりありませんが……。幕末明治期、我が国へやってきた西欧人が、ひとしなみに魅了されたことを、渡辺京二先生の名著『逝きし世の面影』(平凡社ライブラリー)が教えてくれます。その第9章「女の位相」は、つぎのように書き始められています。
この真剣なまなざしを、茄子ではなくスマホをいじる姿として説明すると、今の子たちには納得されやすいようです。
返信削除前コメントは神谷でした
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