民藝――それは僕にとって、水尾比呂志先生と分かちがたく結びついています。原始美術から現代美術まで、これが本当に一人の仕事なのかと疑わしめる水尾先生ですが、もっとも重要なジャンルの一つに民藝があります。これにも膨大な著作がありますが、「僕の一点」をあげるとすれば『評伝 柳宗悦』ですね。最初単行本として出されましたが、間もなく「ちくま学芸文庫」に収められて手に取りやすくなりました。
これを含めて水尾先生のマイ・ベストスリーを、毎日新聞(2006年12月24日)の「この人・この3冊」というコラムに書いたことがあります。丸谷才一先生から求められたものですが、ここに再録し、2022年1月3日、享年91をもって白玉楼中の人となられた水尾先生のご冥福を改めて祈りたいと思います。
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