「僕の一点」は、ほぼ1世紀ぶりに展示されることになった「余杭幽勝図屏風」(個人蔵)ですね。これまた真にすぐれた美術の素晴らしさを、言葉で表現することは不可能であるというブールクハルトの名言を思い出させてくれる傑作です。
この屏風の左隻には、漢詩が三首、大雅の筆によって書かれています。しかし大雅自詠の詩ではありません。薩都刺さつとら(薩天錫)の七言絶句「西湖に遊ぶ六首」から、大雅が選んで書いたんです。
薩都刺は元代の有名な文人にして詩人ですが、僕は吉川幸次郎先生の『元明詩概説』<中国詩人選集第2集>によって5首に親しむだけでした。そのなかの一首は、薩都刺も酒仙詩人だったことを教えてくれます。いや、単に祝いの菊酒が買えないという意味なのかな(笑)
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