出光美術館「尾形乾山生誕360年 琳派のやきもの 響きあう陶画の美」<7月23日まで>
10年ほど前「乾山文人画試論」という拙文を『國華』1419号に寄稿したことがあります。一般的に琳派の芸術家とされる尾形乾山は、むしろ文人画の芸術家であったことを証明しようとしたものでした。もちろん乾山にこのような傾向があることはすでに指摘されていましたが、これを僕なりに整理してみようと思ったんです。
まず乾山の禁欲的性格が、広い意味で文人的志向と結びつきやすいものであったとして、これをイントロダクションとしました。つぎに僕は3点の代表的な乾山水墨画を取り上げ、広義狭義いずれにおいても文人画の定義に齟齬しないことを指摘しました。その画風が理念的観点から、文人画と見なしてよいことも付け加えました。それらの根底をなすのは、乾山が文人であった事実にほかならない――これをもって結論としました。
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