ブリンクマンは我が国文化における詩歌のすぐれた意義を明らかにし、美術とのきわめて密接な関係を、早くも1889年の段階でつぎのごとく指摘しているんです。饒舌館長口演で何度紹介し、配布資料に何度引用したことでしょうか。
日本人にあって、その心のすがたをもっともよくうかがわせてくれるのは、詩歌、この国民がうたいつづけてきた古い詩歌である。これらの詩歌だけによっても、この国民の感情の深さ、理想へのあこがれ、美しいものに触れるたびに身のおののきを感じる喜び、といったものが明らかになってくる。この日本の古い詩歌という宝ものは、芸術家たちに霊感を与えて、そのもっとも天才的な幾多の作品を生み出させてきた。とりわけ、腕のいい職人たちの手をみちびき、装飾のためのモチーフの無尽の鉱脈となってきた。
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