もっとも強く印象に残っているのは、昭和60年(1985)初夏開かれた「海を渡った日本の美 心遠館コレクション」展ですね。当時、学芸員をつとめていた畏友・脇坂淳さん、現在の隣華院住職・脇坂玄淳師が企画した特別展でした。
そのちょうど10年前、アメリカ・オクラホマ州バートレスヴィルにあるジョー・D・プライスさんの私邸・心遠館で拝見した、伊藤若冲を中心とするすぐれた江戸絵画コレクションがそのまま里帰りしたようなワクワクする特別展でした。
饒舌館長が名古屋から東京に移って、最初に触れた大規模な江戸絵画展であったことも、鮮やかな思い出となっている理由かもしれません。もっともそのころは、まだ饒舌でも、饒舌館長でもありませんでしたが(笑) 脇坂淳さんの趣味を反映しているにちがいない、洗練された表紙のカタログを書架から引っ張り出してきて、今ながめているところです。
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